番町藝術研究所

ご挨拶

古美術の伝承に関わるいくつかの事業を考える際に、日本の美術史の特異性を前提として指摘して置かなければならない。

それは美術史がそれぞれの時代の創作者の歴史であることは自明であるにしても、日本の美術史の中では夙に享受者の存在に注視し享受者の歴史が美術史の中で占める割合の大なることである。
東山時代の同朋衆の存在はその顕著な一例である。享受者あって、次の創作者が出現する。

個々の美術品がどのような類品を持ち、どのような状況の中で製作されたものであるか。
それが製作された時代の中で、或いはその分野の通時性の中でいかなる処に位置付けられうるものであるかを明らかにし、其の作品が次の時代にどのような批評を承けて次なる作品を生みだす契機となったか。
そうした考察は享受者の歴史にも及ぶべきものである。

古来、時代によって強弱、濃淡の違いはあっても、大陸の文化の影響を常に受けながら、自ずからの酵母が発酵するように日本の美術は独自の花を咲かせて来た。
この麗しき歴史の中の一点一点の作品の研究、その優品の次代への継承を全うすることを私共の研究所の基本的な目的とする。

この目的を遂行するためには先に述べたような観点から、研究者との緊密な連携をはからなければならない。
そこで研究所として下記の如き活動を行うことを予定している。
活動は健全なる享受者の誕生を助成するものである。

  • 研究者に史料を提供し研究助成を諮る。
  • 研究論文が一定に集まれば、紀要を発行する。
  • 研究者の口頭発表の場を設け、時宜を得られれば数名の研究者によるシンポジウムを開催する。
  • 同時に研究者の講演会も企画し、研究集会の開催も行う。

日本の古美術の価値が、金銭的な評価の側面にのみ関心の集まる現在の傾向に抗して、そのものが製作された歴史的背景の学問的な実証研究を土台に、美術品の有効な鑑賞方法の提示に当研究所が寄与し、美術品の正統なる継承がここに行われることを切に願う。

所在地

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番町會所

〒102-0076 東京都千代田区五番町12-13


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